Salesforce のカレンダー(行動)には「アラーム設定」という項目があり、「行動の開始時間●分前」に通知することができます。しかし現在のところ、この通知はデスクトップのブラウザでしか機能せず、スマートフォンのアプリ「Salesforce for iOS/Android」では通知を受け取ることができません。
この TIPS では、「カスタム通知」と「プロセスビルダー」の 2 つを利用して、スマートフォンのアプリでも通知を受け取る方法をご紹介します。
設定を有効化して [アラーム設定] の項目を追加する
最初の準備として、Salesforce の設定を有効化します。
1-1. 活動アラームを有効化する
まずは「活動アラーム」を有効化します。設定から「活動設定」を開き、活動アラームが有効になっているかを確認してください。
1-2. Salesforce 通知を有効化する
続いて、通知設定を有効化します。設定から「Salesforce 通知」を開き、通知が 2 つとも有効になっているかを確認してください。
1-3. ページレイアウトに項目を追加する
ここまでの設定を有効化したら、[行動] のページレイアウトに [アラーム設定] の項目を追加します。
もし、ページレイアウトへの項目の追加方法がご不明な場合は、下記のヘルプをご参照ください。
参考:標準オブジェクトのページレイアウトの編集
これで、デスクトップのブラウザで行動のアラーム(通知)がされるようになりました。実際に通知がされると、以下の画像のように表示されます。
続いて、スマートフォンのアプリでも通知がされるように、「カスタム通知」と「プロセスビルダー」の設定を行っていきます。
カスタム通知の作成
2-1. 接続アプリケーションを確認する
カスタム通知を作成するために、まずは自社の Salesforce 環境がスマートフォンのアプリと接続されているかどうかを確認します。設定から「接続アプリケーションを管理する」を開き、以下の画像のように、リストに [Salesforce for Android] や [Salesforce for iOS] が存在するかを確認してください。
もし、リストにそれらがが存在しない場合は、お手持ちのスマートフォンに Salesforce のアプリをダウンロード→ログインします。ログインして数分後に、接続アプリケーションの設定情報が自動的にインストールされます。
参考:Salesforce モバイルアプリケーションのアクセスおよびセキュリティの制御
2-2. 「カスタム通知」を作成する
続いて「カスタム通知」を作成します。
2-3.カスタム通知の配信設定
次に、カスタム通知をスマートフォンのアプリへ配信する設定を行います。
通知を飛ばす先の、モバイルアプリケーションを選択して[保存]ボタンをクリックします。もし、ここで[Salesforce for Android]や[Salesforce for iOS]が表示されない場合は、「2-1. 接続アプリケーションを確認する」を改めてご確認ください。
プロセスビルダーを利用して通知プロセスを作成する
最後に、プロセスビルダーを利用して、カレンダー(行動)のアラーム設定日時に合わせてモバイルへ通知するためのプロセスを作成します。
3-1.プロセス作成
新規プロセスの入力画面が開いたら、各項目を下例のように入力します。
プロセス名 : アラーム設定日時に合わせてモバイルへ通知
API 参照名 : NoticeMobileEventProcess
説明 : カレンダー(行動)のアラーム設定日時にモバイルアプリへ通知する
プロセスを開始するタイミング : レコードが変更されたとき
「プロセス名」「API参照名」「説明」は、任意の値を入力してください。
3-2.プロセスを開始するタイミングを設定
プロセス上の [ + オブジェク…] をクリックし、「オブジェクト」のプルダウン項目は [行動] を選択します。「プロセスを開始」のラジオボタンは、[レコードを作成または編集したとき] を選択してください。選択したら、[保存] ボタンをクリックして保存します。
3-3.アクションを実行する条件を設定
プロセス上の[ + 条件を追加]をクリックし、以下の条件を入力後、[保存] ボタンを押して保存します。
条件名 : アラーム設定されている時
アクションの実行条件 : 条件を満たしている
条件を設定 >
項目 : アラーム設定
演算子 : 次の文字列と一致
種別 : Boolean
値 : True
条件 : すべての条件に一致(AND)
詳細 >
レコードに指定の変更が行われた場合にのみアクションを実行しますか? はい
※この選択は重要。
タイムトリガーのアクションの登録ができるようになる。
「条件名」は任意の名前を入力してください。
注意点としては、[> 詳細] の項目の「レコードに指定の変更が行われた場合にのみアクションを実行しますか?」のチェックボックスで、[はい] にチェックするを忘れないようにしてください。
3-4.アクションを実行する時間を設定
プロセス上の「スケジュール済アクション」の、 [スケジュールを設定] をクリックします。
「Set Time for Actions to Execute」の項目で [0時間後] にし、「日付を選択」のプルダウンで [アラーム日時/時間] をせんたくします。設定が完了したら、[保存] ボタンをクリックして保存します。
3-5.実行するアクションを設定
先ほどと同様、プロセス上の「スケジュール済のアクションで、[+アクションを追加] をクリックします。
以下のように設定を行い、[保存] ボタンをクリックして保存します。
アクション種別 : カスタム通知を送信
アクション名 : モバイルアプリに通知する
通知種別 : 行動モバイル通知
※今回作成したカスタム通知を選択する
通知受信者 : ユーザ , レコードのユーザ項目 , 最終更新者ID > ユーザID
通知タイトル : 行動リマインダー
通知本文 : ※件名と、開始日時と終了日時を表示するときの例↓
{![Event].Subject}
{![Event].StartDateTime}〜{![Event].EndDateTime}
「アクション名」は任意の名前でOKです。また、通知に表示するタイトル・本文ともに、任意の文章に変更が可能です。以下のサンプルもご参考ください。
タイトル、本文
--- 通知タイトル ------------------
行動リマインダー: {![Event].Subject}
--- 通知本文 ---------------------
予定の時間が近づいております。
場所:{![Event].Location}
開始時刻:{![Event].StartDateTime}
終了時刻:{![Event].EndDateTime}
3-6.プロセスを有効にする
最後に、画面右上の[有効化]ボタンをクリックして、プロセスを有効化します。
確認のダイアログが表示されたら、[Confirm] ボタンをクリックしてください。
設定は以上で完了です。
補足
4-1. モバイル通知可能な条件
ここまでご紹介した設定を行うことで、Salesforce の通知は「10分ごとに更新される」という仕様になっています。
そのため、一度設定したアラーム設定時刻前に「10分以内にアラームがなる」ようにレコードを編集すると、通知が正常に行われないという場合があります。
詳細は、下表の赤字部分をご参照ください。
ブラウザ通知状況 | モバイル通知状況 | |
レコード新規作成 | アラーム指定時刻になると通知あり | アラーム指定時刻になるとモバイル通知あり |
アラーム設定時刻前にレコード編集 (新規作成時よりも前にアラームがなるよう見直し) ※修正後、10分以内にアラームを鳴らすよう変更 |
変更後のアラーム指定時刻になると通知あり。その後、変更前のアラーム設定時刻にも通知あり。 | 変更前のアラーム設定時刻にモバイル通知あり。 |
アラーム設定時刻前にレコード編集 (新規作成時よりも前にアラームがなるよう見直し) ※直近ではなく余裕をもってアラーム設定を見直し |
アラーム指定時刻になると通知あり | アラーム指定時刻になるとモバイル通知あり |
アラーム設定時刻前にレコード編集 (新規作成時よりも後にアラームがなるよう見直し) ※修正後、10分以内にアラームを鳴らすよう変更 |
変更前のアラーム設定時刻に通知あり。その後、変更後のアラーム指定時刻になると通知あり。 | 通知無し |
アラーム設定時刻前にレコード編集 (新規作成時よりも後にアラームがなるよう見直し) ※直近ではなく余裕をもってアラーム設定を見直し |
アラーム指定時刻になると通知あり | アラーム指定時刻になるとモバイル通知あり |
アラーム設定時刻後にレコード編集 (既に一度アラームがなったレコード再利用) |
アラーム指定時刻になると通知あり | アラーム指定時刻になるとモバイル通知あり |
参考:Salesforce Classic の活動アラームおよび通知
4-2. モバイル通知の制限
モバイルへの通知には、送信回数に制限があります。具体的には、Salesforce の組織ごとに、1 時間あたり、iOS は 20,000 回、Android は 10,000 回 となっています。(通常の利用方法であれば、この制限に達することはないと思われます。)
参考:リリースノート