MatchingMap はマッチング情報の検索や地図へのプロットなど、動作が圧倒的に速い。求職者の方と電話面談しながら、その場ですぐに検索して、地図を見ながらアレコレ話せるのがとても良いんですよ。
—————— 株式会社brainactz 代表取締役社長 千野 裕輝 様
目次
人の善意に頼るのではなく Salesforce で「仕組化」する
—— brainactz(ブレイナクツ)という社名を拝見したときにとても印象的だったのですが、どのような由来があるのでしょうか?
千野様(以下、敬称略):社名は英語の「brain」と「act」を組み合わせた造語で、頭を使って考えることと、行動することの両方を大切にしたいという思いで名付けました。
私は仕事において考えることがとても大事だと思っています。
頭を使わず、ただやっている/やらされているだけの仕事では面白くありません。どんな仕事であっても知的好奇心を持つことが大切だと考えます。例えば Salesforce の「営業プロセスを切り分け、各段階での情報を数値化・可視化する」こともそうですが、何も考えず闇雲に営業するのではなく、どうすればもっと営業の成果が出せるのか、お客様と自分にとって良い仕事ができるのか、ちゃんと頭を使い考えて仕事しようというところから、社名には「brain」を入れたいと思っていました。
とは言え、考えるだけで何も行動を起こさなければ、何も生まれません。私は営業畑の出身ですが、「考えてはいるけど、行動しないから成果も出ない」というセールスを数多く見てきました。しっかり考えてしっかり行動する。その両方が揃ってこそ、成果が出るし仕事としても楽しいんじゃないかということで、brain(脳)に act(行動)を組み合わせて「brainactz」としました。
人材紹介、求人広告を主な事業としつつ「教育・学習事業」「木工工芸教室事業」などの社会性の高い事業や慈善活動も手がけている
—— まず最初に、Salesforce のご活用状況について教えてください。「人材紹介」という事業において、どのような狙いで Salesforce をお使いですか?
千野:求職者や求人企業などの、顧客情報のデータベースとして使っています。
人材紹介業とは端的に言えば「働きたい人」と「働いて欲しい企業」とをマッチングする仕事です。求職者がどんな人物でどんな希望を持っているのか。求人企業がどんな人材を求めていて過去にどんな採用をしてきたのか。情報をしっかりと把握しておかなければ精度の高いマッチングはできません。これらの情報を格納するデータベースは、人材紹介という事業の要だと言えます。求職者も企業も共に満足していただくことが私たちのミッションであり「人と人とをど真ん中に」を体現できている姿だと思っています。
データベースを作る上で忘れてはならないのは、情報がちゃんとルールに従って格納されていなければ分析はできないということです。データ分析は地図で言えばルート検索のようなものなので、最短でゴールにたどり着く道標になります。感覚だけに頼らず、統計的なエビデンスがある状態でマッチングをすることが重要です。この融合が 求職者も企業に対しても高い支持を頂いている理由になります。ですので、「感性と分析の融合」は常に意識しています。
営業担当が私一人でお客様の数も少なければ、Excel や スプレッドシートでも良いんです。情報を入力するのが自分だけならルールがブレることがないですからね。実際に創業当初は Excel で管理していました。
しかし複数人で入力するようになると、人によって情報の入れ方が必ずブレます。社名に(株)を付ける/付けないといった細かな点から、商談情報の残し方が違うとか、そもそも情報を入力してくれない人もいたりだとか、どんなに丁寧にやっても、どうしようもなく絶対にブレるんです。
ですので、社員が二人になった時点で Excel 管理をやめ Salesforce を導入しました。
営業でのヒアリング項目は選択方式にする、極力フリーテキストはなくす、自動入力可能な項目は機械的に埋まるようにするなどルールをしっかり作り、分析するための土台を作りながら、営業工数を削減する。このバランスを見つつ、入力状況を観察して随時ブラッシュアップしています。入力の手間がかかったとしても、将来的な手直しの手間に比べれば微々たるものです。
先ほども申し上げたように、求職者と求人企業の情報を格納するデータベースは人材紹介という事業の要です。Salesforce で強固なデータベースを作るとともに、常に分析できる状態を作っておくことが何よりも重要なんです。
地図を使って情報を可視化するメリット
—— MatchingMap を導入したきっかけを教えてください。
千野:人材紹介業における「地図」の必要性は、かれこれ 10 年以上も前から感じていました。当時は MatchingMap のようなアプリはなかったので、地図帳を買ってきて、そこに付せんを貼って管理していたんです。
—— 地図帳に付せんですか。それは、何の情報を貼っていたんですか?
千野:求人情報です。まずは、そのエリア内のどこに事業所があるのかを知るために事業所の場所に付せんを貼る。そして、その事業所から求人が出たら付せんを青からピンクに変える……というようなことをやっていました。
地図を使うのは、情報を可視化するためです。
マッチングは情報が命です。担当するキャリアデザイナー※が持っている情報の量によって、マッチングの精度が左右されるようなことは避けなければなりません。求職者も企業も満足していただくために重要なのは、高い水準での「情報の平準化」です。
地図に求人がプロットしてあれば、少なくとも「そのエリアにどれだけ求人の母数があるか」は誰が見ても明らかな状態にできますし、検索性も良い。地図を使うだけでそこが担保できるのですから、使わない手はないと思います。ですので、Salesforce と合わせて地図アプリもいずれ必ず入れようと考えていました。
求職者の方に求人を紹介する際にも、地図があると納得感がぜんぜん違います。
例えば、求職者の方が「通勤時間は 30 分くらいが良いな」という希望を持っていたとして、「○○さん、今だと求人が 2 件あります」と言うだけだと、どこかウソくさい感じがしませんか。本当はもっとあるのに、都合良く成約しやすそうなところだけ紹介してるんじゃないか、みたいな。
でも地図を見せながら「通勤 30 分だとご自宅から大体 10 km 圏内だから、その範囲には事業所が 30 件あって、現在求人を出しているところは 2 か所です」って説明すると感じ方がまったく違います。
「求人が 2 件」という分子の情報だけじゃなくて「事業所が 30 件」という分母の情報も相手にちゃんと見せる。「自分たちの貴重な情報だから見せたくない」っていう人材紹介会社さんもいるのかも知れませんが、私たちは求職者の方が一番納得できる形で情報を提供したいと思っています。
スピード優先、リアルタイムに求人を検索・プロットしたい
—— MatchingMap を使っていて、便利だと感じるのはどのような部分ですか?
千野:マッチング情報の検索や地図へのプロットなど、動作が圧倒的に速いことです。
求職者の方との面談は電話で行うことがほとんどです。もちろん事前に求人の資料は準備しておきますが、話をするなかで「こっちの条件が良いかな。あ、やっぱりこっちの条件も気になる」っていうケースはよくあるんですよね。
MatchingMap なら電話しながらその場ですぐに検索して、地図を見ながらアレコレ話せるのがとても良いんですよ。
他の地図アプリは、例えば職場までのルートを検索できたり、地図上でいろいろと情報が見られたりと多機能なんですが、その分、検索や地図へのプロットに時間がかかる場合が多いんです。都内だと検索したエリア内に事業所が数千件ある、というケースもありますから、条件が変わるたびに「では新しい条件で検索し直して、改めてご連絡します」ということになってしまう。
個人的には「面談のときにそこまでの情報が必要か」って思うんです。職場までのルート検索をこちらがアレコレ調べてあげるより、地元のことは求職者の方の方が詳しいと思うんですよね。Google マップでルート検索すると所要 30 分だけど、地元の人なら誰でも知っている裏道があって実はもっと早く行けます、みたいなことは往々にしてある。
そこの情報の多さにこだわるより、面談中にサッと検索・プロットしながら「○○さんのご自宅から 10 km 圏内だとこことここに求人があるんですが、行きやすいのってどちらですか?」って話ができる方が、求職者の方にとっても良いと思うんですよね。キャリアデザイナーの知識が必要な部分と、MatchingMapでしかできないことはすみ分けをするようにしています。全てをキャリアデザイナーの知識に任せることは情報の平準化にならず、全てを MatchingMapに情報を入れることもまたキャリアデザイナーの成長を阻害するので、バランスが大切だと感じます。
—— MatchingMap の導入にあたり、苦労した点やお困りの点などはありましたか?
千野:シンプルな機能と操作性、なによりも圧倒的な検索スピードなので、特に苦労した点はありませんでした。エンドユーザーの IT リテラシーによらず、誰でも使いやすいのではないかと思います。説明書が不要で感覚的にできるので、究極的には子供でも操作可能だと思います。そういう意味では、企業規模を問わず当社のような中小規模の人材紹介業にも向いていると思いますね。
「テクノロジー」と「人の感情」を併せ持った組織を作りたい
—— 今後の事業の展望についてお聞かせください。
千野:ビジネスをする上で、これからますます「データドリブンであること」や「テクノロジーを活用すること」は重要になると思います。Salesforce や MatchingMap を活用してそこはキッチリと対応するのと同時に、人の「感情」に寄り添った事業を行っていきたいと思っています。
人材紹介業は採用が決まらなければ売上になりません。ですので、就職してほしい、採用してほしいという力学が働きます。でも仕事を選ぶこと、人を採用することは、求職者や企業の人生にとっては一大事。つまり双方の納得度や満足度が大切であり、これらを叶える事が「人と人とをど真ん中に」を体現していると考えます。ですので売上のために仕事をするのではなく、キャリアデザイナーは求職者や企業の納得感や満足度に寄与できるような対応をすべきだと思うんですよ。得てしてきれい事のように思われますが、この思想が結果的に売上につながると証明したいのです。
お金も大切ですが、人の感情や仁義、優しさ、社員のやりがい —— そういうものをお金とトレードオフにしたくないんですよね。
今、当社のホームページには主業である人材紹介や求人広告のほかに「教育・学習事業」「エンターテイメント事業」「木工工芸教室事業」を掲げています。「one for you project」という、利益の 1 %を慈善活動に使う取り組みも創業以来行ってきました。
これらはビジネスの数字だけで見てしまうとマイナスなんです。でも、自分たちががんばった成果は売上や利益だけじゃないんだよ、自分たちの活動が社会とつながっていて、目の前のお客様だけでなく見知らぬ誰かの笑顔も作っているんだよ、ということを社員に伝える旗印として、これからも掲げていきたいと思っています。
まだまだ社員と一緒にビジネスで青春したいと考えています。社員から「おばあちゃんになっても一緒に青春したい」と言われた時、つくづく幸せ者だと感じます。社員にも定年まで一緒に青春しもらいたいと考えますし、「ずっとbrainactzにいたい!」と感じてもらえる環境作りを経営者として勉強しなければいけないと感じます。社員に恵まれ支えられ、5期目になりますが離職者ゼロなので、最低でもあと20年この環境を守っていきたいですよね。とにかく社員と一緒にビジネスを楽しみたい、その一心です。そういう理念がなければわざわざ起業はしません。その理念を理解してくれる仲間と一緒に、ずっと長く働いていける会社を作りたいですね。
■ 会社概要
会社名:株式会社brainactz
代表取締役社長:千野裕輝
住所 :東京都中央区銀座1-22-11 2F
■ 事業内容 :
- 採用プロセスソリューション事業
- 病院/訪問看護ステーション向け人事/採用コンサルティング事業
- 保育園向け人事/採用コンサルティング事業
- データ分析lab”ラプラス”
- 各種ビジネス研修